「レールを外れるのが怖い」「変わりたいけど一歩が踏み出せない」と感じていませんか?
それはとても自然なことです。人間は本能的に変化を恐れる生き物だからです。
実は、現在はマインドセットコーチとして活動している私自身も、かつては同じように「有名大学⇒大手企業」という王道のレールを歩み、社会のレールを外れるなんて想像もできませんでした。
けれども、最初の結婚の失敗、そしてドイツ人夫との出会いやドイツ移住を経て思い切ってレールを外れてみると――そこには、かつては見えなかった自由で素敵な世界が広がっていたのです。
私がレールを外れるまでの人生ストーリー
離婚から「自分探し」へ
私は、東京の有名私立大学の看板学部卒業し、一部上場企業に総合職として入社しました。傍から見れば、順風満帆な人生であったかもしれません。
ところが、20代半ばで最初の結婚をしましたが、相手はひどいモラハラ気質で、わずか1年ほどで離婚することになりました。
「できるだけ早く再婚したい」と意気込み、婚活に励んだものの、ピンとくる相手にはなかなか出会えません。焦りと虚しさが募っていく日々……そんな中で自己啓発本や、世界一周を経験した人たちの著書をすがるように読み漁るようになりました。
気づけば「私も世界一周がしたい!」という思いが膨らみ、旅の計画を立て始めていたのです。さらに「世界に出る前に日本を見ておこう」と、日本国内を一人で旅するようにもなっていました。
運命を変えた出会いとドイツ移住

そんなとき、一人でふらっと訪れた長野で当時19歳のドイツ人青年(現在の夫)と出会ったのです。お互いに出会ったその日から惹かれ合っていたものの、当時私は27歳。最初は8歳(学年でいえば9歳)も年下のドイツ人男性と人生を歩むなんて、現実問題としては考えられませんでした。
それでも、一緒に時間を過ごす中で「この人と人生を共にしたい」という気持ちが強まっていったのです。結果的に、日本で半年ほど一緒に暮らした後、私が会社を辞めてドイツに移住することになりました。
有名大学を卒業し、大企業に勤める人生が「望ましいもの」とされているなら――。9歳年下のパートナーと一緒にいるために、会社を辞めてドイツに移住するなんて、「え、どうしちゃったの!?」と周囲に驚かれても不思議はありませんでした。
ドイツ移住の際は、会社員の身分では叶わなかった自由な旅行を存分に楽しみたいと、約半年間かけてアジア横断旅行を敢行。日本からドイツに飛ぶのではなく、東南アジア~南アジア~トルコを経てドイツに上陸しました。
ライター業を始めたらフリーランスに
ドイツ移住をきっかけに、ゼロベースで「自分は本当に何をやりたいのか」と考えました。
その答えが、「書くことで生きていきたい」という思いでした。そこでブロガー&ライターとしての活動をスタート。旅行が大好きだった私は、「旅について書けばいいじゃん!」と考え、ヨーロッパを中心にあちこちを飛び回りながら旅行記事を書くトラベルライターになりました。
当時は「フリーランスになろう」なんてまったく考えていませんでした。けれども、世の中のライターの仕事はほとんどが業務委託。気づけば、いつの間にかフリーランスになっていたのです。
日本帰国と新しい挑戦
ベンチャー企業での会社員生活

2年半ほどドイツで暮らした後は、ドイツ人夫の大学院進学を機に日本に帰国。「新しいスキルを身につけたい」と考えたこともあり、一旦会社員に戻り、ネット広告系のベンチャー企業で働くことにしました。
そこで広報・人事・社長秘書など、初めての経験を数多く積むことができました。社長直下という厳しい環境に置かれたおかげで、心身ともに鍛えられたのです。当時は体力的にとても大変でしたが、今振り返ると大きな財産になっています。
ただ、会社員としての不自由な生活を改めて経験する中で「やっぱり私にはフリーランスが向いている」と気づきました。そこで、瀬戸内の離島への引っ越しを機に、再びフリーランスとして活動する道を選んだのです。
マインドセットコーチとしての活動を開始
前職での経験を生かし、帰国後は旅行だけでなく、EC・Webマーケティング、キャリア、HRなど幅広いジャンルの記事執筆を手がけるようになりました。テーマが多岐にわたったことで、ライターとしての力がさらに磨かれていきました。
そして2025年、私は新たにマインドセットコーチとしての活動をスタートしました。
「もっと直接的に人の人生を良くするお手伝いがしたい」
「迷い、悩みながらも一歩を踏み出そうとしている人の背中を押したい」
そんな思いが強くなったからです。
その原点は、ドイツ在住時に毎日のように更新していたブログにありました。自分の人生について記事を書き、読者とメッセージのやり取りをする中で「春奈さんから勇気をもらった」とコメントをいただいたとき、心の底から湧き上がるような喜びを感じたのです。
2023年11月に娘を出産後、改めて自分の人生と向き合う中で、「コーチングこそ、ずっと私がやりたかったことだ」と確信しました。
ライターもマインドセットコーチも、ともにフリーランスとしての活動です。今では雇われずに独立して働くことが当たり前になり、近い将来には法人化も視野に入れています。
レールを外れるのは怖かった

ここまでの人生ストーリーだけを聞くと、私は最初から「世の中の常識にとらわれず、自分らしく、自由に生きてきた人」に見えるかもしれません。
でも実際はそうではありませんでした。私自身「めちゃくちゃ行動的で、勇気と決断力がある人に見えるなぁ……」と他人事のように思うほどです。
ところが生来の私は、母に「石橋を叩いても渡らん子やった」と言われるほどの引っ込み思案。もともと内向的かつ慎重な性格で、両親も会社員と公務員という家庭で育った私にとって「フリーランス」や「世界一周」なんて別世界の話でした。
だから、有名大学を卒業し、大企業に勤めるという「望ましい」とされる人生を歩んでいたころには、「レールを外れる」なんて想像すらできませんでした。会社員になって最初の5年間は、安定を手放すことなど考えられなかったのです。
今振り返れば笑ってしまいますが、日本国内での転職さえ「怖い」と感じていました。
当時の私にとってレールを外れることは、暗闇に飛び込むような恐怖でした。レールの先が見えず、その先の生き方など想像もつかなかったのです。現在のようにフリーランスとして働く未来など考えもしませんでした。
レールを外れてはじめて見えた世界
ところが、いざドイツに移住して社会のレールを外れてみると――そこには、自分がこれまで歩んできた道とはまったく違う、さまざまな選択肢が広がっていました。
レールを外れたからといって、何も恐れる必要はなかったのです。
私は「書くこと」と「旅」が好きだったので、自然な流れでトラベルライターとして活動するようになりました。けれども理論上には、ドイツで日本語教師になる、現地の企業に就職する、自分でビジネスを立ち上げる……といった道もあったはずです。
もちろん、言葉もままならない異国でいきなり稼げるようになるのは至難の業。仕事によっては長い準備期間が必要になる場合もあります。それでも「不可能」ではないと気づけたのです。
人は、いつでもどこでも新しいキャリアをスタートできる。そう実感したとき、キャリアに対する気負いや「こうでなければ」という固定観念がすっと薄れていきました。
変化は怖くない、むしろチャンス

夫は転勤族なので、近い将来、北米や南米での駐在帯同生活が待っているでしょう。相変わらず不確定要素だらけです。そんな未来に対して「まったく不安がない」と言えば嘘になります。
けれど今は「何とかなる。その時々の環境で、自分にできることをやればいい」と思えるようになりました。
人間は本能的に変化を恐れるものです。仕事を辞めることや、仕事を変えること、住む場所をがらっと変えることは、多くの人にとってとても勇気がいること。どうしても「失うもの」に意識が向いてしまい、不安ばかりが膨らんでしまいます。
けれど実際には、「変わる」ということは、新しいチャンスを手に入れることでもあります。
私自身、ドイツ移住をきっかけに、それまでのキャリアの延長線ではなく、ゼロベースで「自分は本当に何をしたいのか」と向き合いました。その結果、ライターとマインドセットコーチという新しい仕事に出会うことができたのです。
もしあの変化がなければ、自分の力だけでここまで大きな転換を起こせたかどうか、自信はありません。だからこそ今は強く思います。
社会における自分の居場所を自らつくることさえできれば、変化は怖くない。むしろ、人生を大きく前進させてくれるチャンスなのです。
そもそもレールなんて幻想
日本では、いまだに多くの人が「名門大学を卒業し、一流企業に勤めること」が安定した生き方だと考えています。
確かに近年、働き方や生き方の価値観は多様化してきました。それでもなお、昔ながらの「レール」の存在を信じている人、あるいは「信じたい」と思っている人は少なくありません。
ひと昔前なら、そのレールに乗ることが、安定へと続く最短ルートだったのかもしれません。
でも、終身雇用が終焉を迎えつつあるこれからの時代は、そのレールが突然途切れてしまうこともあるのです。ある日予期せず、レールから放り出されてしまったら……?
だからこそ、レールの上にいるかどうかにこだわるよりも、「自分の力で道をつくれるかどうか」の方が大切だと思うのです。そして、これが私がいちばん伝えたいことです。
おわりに
もし今、「変わりたいけれど一歩が踏み出せない」と感じているなら――その気持ち、痛いほどわかります。私もかつては同じように、レールから外れるのが怖くて、足がすくんでいました。
でも安心してください。そもそもレールなんて幻想です。 あなたが「外れてしまった」と感じるその瞬間こそ、あなた本当の人生が始まる合図なのかもしれません。
周りの声や世間の常識に縛られなくても大丈夫。あなたが心から望む道を選んでいいのです。
不安や迷いを感じるのは自然なことです。でも、それを抱えたままでも一歩を踏み出すことはできます。踏み出した先には、きっとあなたが想像もしなかった景色や出会いが待っています。
どうか勇気を出して、自分の心の声に従ってみてください。人生はいつからでも変えられるし、やり直すことだってできるのです。